三省会


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宇佐先生の講話
(平成31年3月10日)

 本日は良いお話を実にたくさんお伺いしまして、皆さん方のご精進のほどがよく分かりました。では会場からのご質問にお答えします。
 まず、すばるクリニックの伊丹先生からです。

 末期のがん患者さんが担当医から死が近いと告知され、恐怖にさいなまれていますが、どのように対処すればよいでしょうか、というご質問です。

 私は昨年の秋に日本森田療法学会に出席し、そこで10数名のがん患者さんを治療した森田療法専門の方の発表を聞きました。その方はがん患者さんに、がんと仲良くするという治療を森田療法として行っている、と発表されたのです。私はそこで手を挙げて次のように申しました。その本人ががんと仲良くするというのは、対峙たいじした間柄ができることになるわけで、それは森田療法ではまったくあり得ないことです。全治には間柄というものはないのです。それは一見賢い治療の持って行き方のように思えますが、実は森田療法からすればおかしいのです。
 がんによって死が近いと告知されましたら、ぶっつけの不安のまま、それ以上何か言葉で心の持ち方を変える必要はまったくないということを話しました。

 次のご質問です。 
 私は対人恐怖があり、人と話をした後に、きっと嫌われてしまった、あんな話をしなければ良かったと後悔し、そのことが頭から離れなくなります。頭から離れないまま仕事に取り組んでもまた頭から離れなくなります。どうすれば良いでしょうか、というものです。

 これについては、その一瞬に治ることが間違いないのです。頭から離さないでおくわけです。要するに自分にとって賢いと思われる対処を一切しないことです。自分あるいは心、症状は放ったまま、外の状況の変化に敏感に対処していらっしゃる、そのままで満点です。森田療法は時間をかけていてはいけません。1秒でも2秒でもかけていては脱線します。あるがままとは何かと考える時間だけでもいけません。   

 次のご質問です。
 不安は放っておくというのは分かりましたが、現実的に対応しなければならない不安が含まれていたらと思うと、すべての不安を放っておいて良いのでしょうか、というものです。 

 外の問題つまり生活上、学問上の問題について質問を受けた場合は的確に回答しなければなりません。しかし、先ほどから問題にしているのは神経症や心の問題ですから、それに対して賢そうな答えを絶対持ち出そうとなさらないことです。はっきり言いますと、心はどうでも良いという事です。ご家庭のこと、お仕事上のこと、それを緻密にいろいろ考えながら対処して研究的に進められたらよろしいわけです。
 外向きの仕事というのは大きく二つに分けますと、一つは外向きに次々と問題に取り組んで対処して行くこと、つまり問題解決への取り組み、知的作業です。もう一つは外の問題を次々吸収する、勉強する、ニュースを聞く、そして人がしていることに対する協力です。自分なりに研究し協力することです。
 外のことを対象にした問題については、学問や今までに得た知識を大いに発揮して解決に進まれれば良いわけです。ところが森田療法で問題になりますのは、常に自己意識、つまり自分で見た自分という意識、あるいは他人が自分についてどう見ているか、という意識です。そこには絶対、自分の方から言葉や論理を持ち込んではいけません。
 禅の言葉で「絶言絶慮ぜつごんぜつりょ 処として通ぜざる無し」というものがあります。禅宗の三祖、鑑智禅師が信心に関する究極の言葉として信心銘に残したものです。これは前の院長がしていたことに通じるものです。
 つまり皆さん方は今すぐ、健康人として、あるいは健康人のふりをして、今しなければならない事柄を、大事な方から順にどんどん取り組んでいらっしゃるという、それだけでその時の全治が、治そうとしないまま立派に実現するのです。
(第437回 三省会例会における宇佐晋一先生の講話)



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